背景の練習方法(初心者向け) 自由に描けるようになる為に

トレス 練習 写真

こんにちは、彩玉です。

ここでは背景の練習方法を紹介します。

専門学校に通ってる方、これから勉強しようとしている初心者の方へ、簡単に取り組める順番とそのやり方を画像と共に説明します。

 

この順番で行うことで、スタートのハードルが低く、それでいて基礎はしっかり押さえてる流れですので、目的意識をしっかり持った上で取り組んでいけるはずです。

そしてここで行う練習の先にある完成形が就職で必要なポートフォリオになります。

 

これから一つずつ説明してきますが、先に一つお伝えしたいことがあります。

自由に描けるようになりたければ、知識だけ取り入れるのではなく、必ず手を動かして行動に移してください。

 

とにかく描く、習う前に描く

 

『覚えてから描く』のではなく『描いて覚える』ことを守ってもらえれば、最初は大変でも後が楽です。

 

また、独学、自主練習は目標がないとやる気が起きませんよね。そこでモチベーションを上げる方法を無理やり作ってください。
周りと競うというのも手です。画像投稿サイト、懸賞、出版を目指してもいいかもしれません。1ヶ月以内にコメントもらうとかランキング100位とか、ブックマーク10人とかとにかく具体的目標を立ててから次をお読みください。

 

本気で上達したい方は、背景就職で必要なポートフォリオの中身を別記事に纏めましたので一読してみてください。

別記事=「5、提出書類②:ポートフォリオの中身はこれ

 

 

背景の練習方法_白黒編

この白黒を飛ばさないようにお願いします。背景の練習に限らず、人の目が最初に判断するのはコントラスト比(明度対比)、いわゆる白黒の差です。そして立体に見えるのは明暗があるからなんです。

私も背景講師歴17年になります。断言しますが、カラー彩色、デジタル背景の練習は1~2割で十分です。

 

白黒にもいろいろありますが、最もお手軽な練習題材がスケッチです。

 

 

1、最も入りやすいスケッチ

背景 スケッチ 練習

 

モチーフは身近な小物で、10分くらいから始めましょう。必ず時間制限を1秒たりとも許すことなく厳しめで行います。時間制限をしっかり持つことで、目配せが自然と身に付き、同時に全体を見るようになります。

 

スケッチの優先は形です。そして造りです。

 

鉛筆、消しゴム、ティッシュ箱などの箱シリーズをやるといいと思います。写真(白黒)でも撮って確認してみるといいかもしれませんね。携帯は魚眼になりやすいので注意。

 

慣れてきたら20分、時に10分に戻すなどが理想です。たまに一つの絵を10分ずつに分けて6日かけてやるのも面白いですよ。10分の集中力が付きます。6日もやれば一枚に1時間かけたことになりますから、きっかけ作りには良い題材だと思います。

ただ6日で1時間は少なすぎますのでたまにですよ。

最初は気合を入れすぎず、一日一枚とか寝る前に軽くやる感じでコツコツチャレンジしていきましょう。

 

箱シリーズに慣れたら円柱、球体シリーズへステップアップします。

コップ、瓶、トイレットペーパーなど、楕円が出てくるのでちょっと難しくなりますが、理屈で理解するのではなく”見て描く“これです。見て描く見て描く見て描く・・・

球体シリーズではボール系ですね。学校で勉強すると石膏が基準となりますが、白いものは究極の勉強材料なので最初は難しいかと思います。

 

「パースを覚えなきゃ描けないじゃん」とか「まずは透視図法でしょ」と思われる方がいますが、スケッチはそもそも目の前に実物を置いて描くものでパースに狂いはないはずなんです。

見て描くということは自然とパースの勉強もしていて、きれいに描けるということはパース自体描けたことになっています。

パースの勉強は単なる理屈にすぎず、結局見て描く練習をしないことには狂っていることにも気づかないんです。

 

大切なので改めて言いますが、覚えてから描くのではなく、描いて覚えていきましょう。

それが一番簡単に出来るのがスケッチだと思います。

 

身近なものを手短に

 

これでいきましょう。

 

スケッチで使用した画材はこちら

ミューズのケント紙(B4)⇒
製図用と言われ、設計図など細かいものを描くのに適してる非常にすべすべした紙。
紙の質がほぼ出ない為、質感をしっかり表現する力がつきます。
精密画などの建築系向きの紙質。

※ケント紙は一枚単位での購入が難しい為束になっているケントブックを購入し一枚づつ切り離して使用します。
また、普通の紙とは違うことから、小さな文房具店では置いてないことが多いので画材専門店へ行きましょう。

 


鉛筆はなんでもよいと思いますが、枚数をこなしていくと実は鉛筆の安さが描きにくさとなって障害になります。
そこでたどり着くのが三菱鉛筆のユニとハイユニです。
ハイユニはちょっと高めなのでユニが良いと思いますがハイユニにこだわる方も少なくありません。
スケッチはHBで十分。

1本ずつそろえるのが面倒な方は下のようなセットもありますが、結局使うのは3~5本なのでH~4Bあたりをそろえたほうが安上がりだと思います。参考までに

三菱鉛筆 鉛筆 ハイユニ アートセット 22本入 HUAS

 

※鉛筆は芯がざらざらしたり、変なものが混ざって紙が傷ついたり、同じHBでも固かったり柔らかかったりと結構違います。

 


2、次にデッサン

背景 デッサン 練習

 

スケッチしたものをリアルに描いたものがデッサンです。似ていますが目的が全く違います。

スケッチは形の勉強に使いますが、デッサンは立体表現で必須である面の勉強に使われます。

背景は線画を必要とせず、面と空気遠近法で3D表現を目的としますから、デッサン次第で就職内定にかかわるくらい重要なのがデッサンです。ポートフォリオは最低5割入れます。

 

3時間、6時間、10時間など、目標を変えつつ、現実にある小物を出来るだけ同じように白黒で表現してみましょう。

見ずに描くのは全く無意味なので、必ず目の前にあるモチーフを写し取るように練習してくださいね。

 

デッサンの優先は面の説明です。次に質感で、重さ、味まで感じれれば超一流

 

ちょっとリアルから超リアルにがんばりましょう。

 

デッサン 箱 白黒

デッサン 布 毛布

デッサン 人物 キャラ

 

 

デッサンで使用した画材はこちら

デッサンは紙質をとても使うのでM画が定番。(上図はケント紙)

スケッチで紹介したケント紙の逆ですね。

ざらざらした表面で普通に塗っただけでガサガサの質感になり、水彩アナログにも使用する水との相性が良い紙です。

※白象という中学生あたりまでで使った普通の画用紙も似た感じ。しかしネット販売されにくい

 


3、スケッチとデッサンをやってからパース

パースがどうしても出来ない方はこのように写真を横においてとにかく描いてみるとよいです。それでも難しい方は重ねてトレスから練習がいいですね。意外と上達するんですこれ。

 

背景 パース 練習

 

パースは軽く意味を理解するだけでいいと思います。仕事ではだめですが、有意義な時間を練習に充てるならばパースよりデッサンをやってください。

職種によってはこれこそ本職という職業がありますが、彩色がメインのアニメ背景では、模写を描いていればパースは理解出来ます。一点透視、二点透視、三点透視を軽く納得する程度でいいでしょう。読破する時間があるなら描いてくださいね。

デッサンが描ける人でもパースは習ったことがないという人、結構多いですよ。習ってしまうと目で追わなくなりますからね。

 

まずは目を鍛えてから。

 

トレスする、重ねて描く、横に置いて描くなど初心者の方向けの描き方紹介はこちらへ

=「背景の練習方法は何から?【初心者向け練習方法】これから人向けの手引き

 

 

面白く読めるパースの教科書です

パースは理解するだけでは仕事で使えません。人の目、カメラの特徴に自由に置き換えられる技術まで知る必要があります。
本も数多く存在しているのですが、仕組みは一緒なので読みやすいのが良いと思います。

そこでおすすめするのがこちら⇒

ほとんどの解説本が言葉と完成図で説明するところ、この本は漫画になっており個性たっぷりなキャラクターが丁寧に絵で説明してくれます。


背景の練習方法_カラー彩色編

デッサン同様、カラーもアナログでの練習が一番ですが、作業環境が難しい人はデジタルでもかまわないと思います。ただし!デッサンをやるのが条件ですね。

気分が乗らず描くことがつらいよりは、好きなもので好きなように描いているのが一番上達します。苦手なもので描くと挫折してしまうきっかけになりますね。

就職を考えている人は、時間に限りがありますから、就職先に合わせるのが一番です。それでもデッサンがない作品ファイルは絵に対する気持ちとオリジナル性に乏しいと見なされ、先々不安が残る印象を与えかねません。そんな人は怖くて内定をあげれません。

 

それとなぜアナログがいいのかですが、すべて描く必要があり、そこに偶然はなく、また、修正がしにくいからです。

 

修正がしにくいと聞いたら、描く前に何かしませんか?

 

データは素材はめ込み、レイヤー分け、何でもありですから、描きながら修正も出来、特殊効果は簡単に入れられ、偶然カッコよくなることも多々ありますね。

ですから、修正のしにくいアナログの場合、しっかりシミュレーションをし、よりリアルな完成を想像する訓練になり、気づけばデジタルより早く描けていることもあります。

 

1、模写

カラー彩色で一番簡単、且つ、勉強になるものがこの模写です。(下図は共にアナログ)

背景 作品模写 練習

 

背景 写真模写 練習

 

トレスからが一番簡単で、最も早く習得できます。トレスは習得に最適なんです。

 

アナログの描き方はYoutubeの実演を見たほうが早いと思いますので是非。

【アナログ】背景の描き方【画材道具編】

【アナログ】背景の描き方練習方法【金属を使った反射】

 

 

まずは、写真模写をしましょう。上記のような激しい題材ではなく、小物からで十分です。スケッチのリアルカラー版ですね。

消しゴムなど描いてみましょう。ただし、模写はそっくりにすることを条件としています。なんとなくは模写ではないので消しゴムだからとて手を抜かないように。

 

写真がいい理由は現実だからです。難しいですけど現実を知った上でアニメのようにデフォルメさせてほしいと思います。

 

とはいえ、作品模写も非常に勉強になりますので、写真の次は好きな背景でも模写しましょう。小さめの簡単なものからがいいですね。なければ部分模写でもハードルは低くなります。

 

色彩学を勉強するのも技術向上につながるので、文部省認定色彩検定3級でも一度ご拝借を。

色彩検定はこんな感じで授業でも使います。= 色彩検定 公式テキスト 3級編 (2020年改訂版)

 

  • 模写のメリット
    凝視することで仕組みを理解。仙窟者の技術吸収。周りを吸収しようという絵の好奇心向上。引き出しを増やす努力。仕事への即効性。

 

  • 模写のデメリット
    絵作りをしようとしてない分オリジナルに劣る。思考能力がつかない。絵全体を見れない。全体のバランス調整力がつかない。

 

都庁_写真模写_アナログ

千と千尋_作品模写_アナログ

模写 アニメ背景 夜景

模写 アニメ背景 千と千尋

 

2、オリジナル背景は練習になっていない

アニメ背景 入道雲 海

オリジナル背景自体は練習になっていません。ただし、写真資料や既存の作品を見ながら制作に望んでいるなら別です。

 

要するに

自分にないものを取り入れている瞬間が上達につながっている

ということです。

 

そのため、背景の練習方法としてオリジナル背景の紹介は控えます。

 

オリジナルの描き方が知りたい方はこちら

背景の描き方制作工程公開【初心者向け】線画、彩色すべて【画像付】

 

  • オリジナルのメリット
    全体を見る。バランスの調整力がつく。絵作りに長ける。画力の独自性。将来への期待。

 

  • オリジナルのデメリット
    仙窟者の技未修得。独自性により技術の偏り。絵がわがまま。仕事へのつながりがない。

 

背景の練習方法まとめ

・スケッチ

見る目と形状を習得するのが目的。カラー未修得だが数の多さから引き出し増加。気軽。絵が楽しくなる。10分程度からスタートできる。

 

・デッサン

目の強化と面の立体表現が目的。彩色力技術向上のきっかけ。立体表現が特技。描画力。カラーのバリエーション、デザインは習得していないがコントラスト比はすべてにおいて重要。

 

・パース

遠近が特技。質感未修得。立体表現未修得。形を理解。カラー未修得。カメラや人の目の特徴を知ることが出来る。仕組みを知っただけでは無意味。

 

カラー彩色

写真模写が理想。難しければトレスでも十分。作品模写は洗堀者の技術習得に発揮。背景の教科書は背景画集。色彩学を勉強するのも技術向上につながる

 

是非頑張ってほしいと思います。