良くある質問Q&Aを纏めてみました。アナログ、デジタル、描き方、表現などいろいろありますので参考になさってください。
背景全般について
▽一枚にどれくらい掛かりますか?
簡素な空や雲なら20分~30分くらいでしょうか。室内等人工物になると数時間、街並みや空撮など物が増えていきますと10時間以上掛かる場合があります。
デジタルの場合はコピペを利用できるので効率よくリアルなものが出来上がります。
▽どんな練習をすればいいですか?
一番簡単で早く上達するのは模写です。なぞることから徐々に次のように行うのが良いと思います。
なぞる<線画<スケッチ<デッサン<作品模写<写真模写<オリジナル
▽空気遠近法について奥にあるものの色を薄くするのと、暗くするのとではどちらが正解ですか?
奥にあるものは明るくなり(空の色になる)彩度では高くなります。
「彩度」とは白が一番低く(無彩色)、赤とか青が一番高いという言い方をします。
▽絵はどこから描いたらいいですか?
ラフで構図と全体像を調整しメインから清書が理想です。
ラフでもメイン構図から決めるのがよいかと思います。
▽木を描く時は、黒→青→緑→黄色という風に、暗い色から順に重ねますか??それとも透明水彩のように、明るい色から順に塗り重ねますか?
「真似て見た」では同じコンセプトで暗いのから塗りましたが、普段は明るい部分から塗るようにしています。
▽アニメの背景というものは、みんな基本下書きというのはしないのでしょうか?即絵具ですか?レイアウトは別紙に書いてから、とりかかるのでしょうか。
仕事ではレイアウトと呼ばれるものが制作サイドから納品されます。しっかりしたレイアウトもありますがほとんどがラフになります。
パースの狂い、質感などを修正しながら画用紙に跡をつける「鉄筆」という作業をし制作します(詳しくはアナログ背景「鉄筆」をご覧ください)。
状況に応じてレイアウト自体描き直すレイアウト修正というのを行います。
▽独学で描いているんですか?
背景専門の学部で勉強したあとグラフィック専門会社に携わらせて頂きました。
▽植物などを立体的に書くにはどうしたらいいですか?
立体には面の説明が必要になり、植物ですと円錐、球体の知識と技術が必須になります。
▽水面の質感の表現の仕方がわからないのですか
透けている場合、水中を現物よりもコントラストを弱め水の色を影響させた暗い色が基本です。
透けていない場合は現物が写っているように上下逆さで暗めに描き足します。
アナログ背景について
▽最初に塗っているものはなんですか?
ただの水です。
▽紙の裏にも水を塗る理由はなんですか?
ぼこぼこになるのを防ぐのと乾きづらくなります。
きれいなグラデーションの為にはちょっとした膨らみがじゃまになるので塗り終わるまで伸びきった状態を保ちます。
▽最初に付けている水は、大体どれくらいですか? ビチャビチャになりませんか?
水はなかなか驚くほど濡らします。紙のほうを水に浸すくらいです。ただ、おっしゃるとおりビチャビチャになるので表だけ調整して整えます。
紙の中へ浸透させておく感じで表面は軽く拭います。
▽水張りをしたら色は水を加えていますか? それとも色はそのままで塗っていますか?
ポスターカラー自体にも少量の水を加え、柔らかさを調整しています。
水張りの乾き具合、絵の具の硬さのタイミングを見計らって描いています。
▽水張りは必要ですか?水張りしないとどうなりますか?
絵の具で紙が凸凹になってしまいます。
渇きが早いのでグラデーションや柔らかい質感が描きにくくなります。手際よくこなせば可能でもあります。
▽このような技法に名前はありますか?
アナログ背景業界では”地塗り”と呼んでいます。
▽水を加える代わりにホワイトを加えても?
水を加えることをお勧めしますがほんのりホワイトを重ねておくこともよくやります。
色が変わっていくのを理解した上で調整できる技術があれば問題ありません。全体的に淡くしたい場合に適していると思います。
▽紙はどんなタイプ?
白象紙です。他は「TMK」をよく使っています。一枚10円程度のいたって普通の画用紙です。
▽筆や絵の具はいくらぐらいのを使用していますか?
平筆3号~7号300円~700円/本、削用(丸い筆)800円/本、ポスターカラー大瓶950円/本×12色(値段は正確ではありません)。
▽途中のものに霧吹きで湿らせるのは大丈夫でしょうか? 乾いていく段階で紙はくしゃくしゃにはなりませんか?
エアーブラシで湿らせることは稀にやります。
部分的に濡らすとくしゃくしゃになるので裏を全部濡らし、描き終えたら乾く前に板などに張れば伸びます。
▽カラーインクはなんですか?
ニッカーのポスターカラー大瓶です。
▽なぜ最初に水を塗るのですか?
きれいなグラデーションや柔らかい質感のためと、紙がきれいに伸びきっている状態を保ちたいからです。
塗れている間はやり直しもしやすいです。
▽崖を描いている途中絵に紙を押し付けている様子を見ましたが、どんなテクニックなのでしょうか?
見たままですが”はがし”と呼ばれる技法です。
紙が濡れているあいだに置いた絵の具をはがして自然な岩や崖、石のような質感を付ける技法です。濡れ方によって大小さまざまな質感を一瞬で作ることが出来ます。
▽刷毛にはなにが着いてるんですか?
ハケは何も付いていません。乾いている刷毛です。 グラデーションのムラをなじませる効果に使用します。
デジタル背景について
▽デジタル背景で自然物はどうやって描いていますか?
カスタマイズで▽ブラシがとても便利です。詳しくは「CG背景動画をご覧ください」