アニメ業界の就職は知る人ぞ知る仕組みで、特に未経験の方には聞きなれない職業が多く、調べても出てこないことありますよね。
- 職種っていくつあるの?
- 目的の企業の探し方がわからない
- 準備するものは?
- 面接ってどんな感じ?
- 実技試験は?
- 研修って?
そんな方に、私の講師経験と業界経験、入社時の経緯を踏まえて情報をシェアしたいと思います。
私は学生時にアニメの制作過程を卒業し、アニメ背景も同時に就学。背景として就職、経験後、フリーランス兼背景講師に携わり17年、卒業生200名を超え、背景会社への就職率90%以上、そのうち第一志望合格率約80%の実績があります。
卒業生の中には美術監督、美術設定、会社立ち上げ、引継ぎの経営者までいます。
ここでの記事は完全無料ですが、かなり有益です。これを経て、就職へ繋がる人が一人でもいてくれれば嬉しいです。
わかるところは飛ばしてもらいつつ、最後までたどってもらえば、未経験者な方でも就職活動がスムーズに進められるはずです。
長めの記事になりますが、アニメ業界への就職の手順はここでまとめますので是非頑張ってみてくださいね。
描画系を例に解説します。ご了承をm(__)m
アニメ業界の就職の手順
1、求人の前に、アニメ業界の職種について
- 原作・企画・脚本・シナリオ
- プロデューサー
- 監督
- キャラクターデザイン
- 絵コンテ
- 制作デスク
- 作画監督
- 色彩設計
- 美術監督
- 音響監督
- 撮影監督
- 編集
- テーマソング
- 音楽
- 声優
- 効果
- 録音
- アニメーション制作
- 協力
- 宣伝
- 製作委員会
もっと細かく分類すれば、制作進行、原画、動画、仕上げ、背景、色指定、検査、CGI VFX・・・。
この中には、アニメ業界と一括りに出来ない職種も多く混ざっています。
声優は実写の吹き替えやアナウンスもしますし、音響は音楽業界の楽曲制作にも携わります。
背景はPC系、SNS系、パチンコ系の制作も行うのでゲーム業界にも属していることにもなります。
そもそもアニメは原作ありきの時代で漫画や小説が元です。こんな感じでアニメ業界では纏められません。
そこで、職種から迷っている方は今後何をしていきたいかを書き出すなりして、やりたいことを確認しておくのが良いと思います。それをこの後の解説と合わせて確認してほしいです。
後の面接のトークに関わってくるくらい重要なので、職種名ではなくやりたいことを明確にしましょう。
現にこの時点で決めている人のほうが稀だと思うのですが、やりたいことを意識した上でエンドロールを見ているとそこそこ絞れてきます。
ただし、それでも見方を間違えると面接でよくない流れになってしまうので必ず最後まで一読ください。
では、会社の調べ方、探し方を解説します。
2、会社の調べ方、探し方
重要なので何度も書きますが、面接のトークに繋がる重要なことでなので、次の例を参考に深く突っ込んで探してください。
例=アニメーター希望A君が就職活動中だったとします。
アニメーター希望のA君がB作品のアニメに感動し、会社を調べたところC制作会社だったのでさっそく求人に応募したとしますね。
アニメーターの長は「作画監督」という部署の人なので、B作品のキャラクターは作画監督の技量で決まっていると言ってもいいんですね。
ここで次のことを再確認をしてほしいんです。
その作画監督はC制作会社所属なのかということです。
アニメーションは一つの制作会社内ですべて作っているわけではなく、数社共同、フリーランスと、多くの人達で制作しています。作画監督がアニメ制作会社の中にいるとは限らないんです。
「思い出のマーニー」の美術監督である種田陽平さんは実写映画出身のデザイナーです。
もしB作品の作画監督がC制作会社ではなかった場合、A君がC制作会社の面接で、「B作品のキャラクターの動きや演出に感動して志望しました」と言った場合良い印象は与えません。その「動きや演出」指示は作画監督によるものだからです。ややこしいですね。
その方がもしフリーランスだったならば、C制作会社への入社はまだ可能性はありますが、別会社から一時的に派遣されたなんて場合はそちらを勧められるか、作画監督がいないことを説明される可能性があり、不合格になることも考えられます。
「そんなのわからないじゃん」と言いたくなる気持ちも分かりますが、本気で就職をしたいならしっかり調べるわけですから、不合格の理由もわかる気がします。
そうならない為の調べ方を紹介します。
背景希望の方は別記事にてもっと詳しく説明しています。 |
♦次の順で調べる
【A君の場合】
①:作画監督の名前を検索する
個人名で検索すると、Wiki、ブログ、twitter、facebookあたりが出てくると思います。そこのプロフィールを探しましょう。経営者や代表取締だと会社名がヒットすると思いますが、所属が分かってしまえば大丈夫ですね。
フリーランスの場合、そこから仕事に繋がることもあるのでプロフィールには必ず書きます。
ここでもしフリーランスの方だと判明した場合、C制作会社の面接では違う志望動機、例えば「この作品やこっちの作品など、御社の手掛ける作品は~」などの妥当な動機に変更すれば乗り切れます。その作品をしっかり調べる必要が出てきますが。
②:「動画」欄の次に出てくる最初の会社名を調べる
エンドロールの「動画」欄の次に出てくる最初の会社名は、その作品に携わったアニメーターのメイン会社になることが多いです。
背景でも同じで、背景の次に出てくる一番最初の会社名がメイン会社です。
最初に出てくるのは作品に一番多く携わった会社になり、立ち上げから参加していたことになるんですね。
作画監督や美術監督がいる会社は、おのずと一番多く携わる形になるので、B作品の作画監督もそこにいる可能性は高いです。
エンドロールのこの辺ですね。
③:「アニメーション制作」欄の会社も調べておく
これがC制作会社にあたります。
エンドロール最後に出てきますが間違えやすいので「製作」ではなく「制作」側を見てくださいね。
- 製作=スポンサー側、TV局側で、製作委員会という言い方をします。TVCM、広報などがこちら。
- 制作=アニメを実際に統括したアニメ制作会社です。監督、シナリオ、絵コンテ、撮影等々。
C制作会社で検索し、会社概要やリクルート内に動画部署がなければそもそも作画監督はいないはずです。
その場合応募も出来ないと思いますが、もし動画部署があっても、作画監督が外の人なんてことは普通なので、応募する前に再確認しましょう。
声優がプロダクション所属になっているのと同じイメージですね。
描き手ではなく、制作進行などで就職を希望しているならば、「アニメーション制作会社」の求人でほぼ大丈夫です。
エンドロールの制作、アニメーター、仕上げ、背景はそれぞれ、制作デスク、作画監督、色彩設計、美術監督がトップです。
- 制作 → 制作デスク
- アニメーター → 作画監督
- 仕上げ → 色彩設計
- 背景 → 美術監督
制作の場合、演出、プロデューサーへと進む場合もありますので一概に言えませんが逆を言えば、演出をしたければ、スタートが制作からということになりますね。TV業界で言うところのAD(アシスタントディレクター)で、D(ディレクター)になり、プロデューサーになるみたいな感じです。
ある程度就職希望先が分かってきたと思います。後はアポイントメントを取るわけですが、取ってからでは遅い場合があるので次で求人欄の見方も説明します。
本気で考えている方、クリエイターは観察力と技術力です。踏み出さないと技術が付いてきません。ここでの情報を参考にしつつ、まずは行動に移してみませんか。私は「明日より今日のほうが若い!」と自分に言い聞かせています。
アニメ全般を扱っている専門学校は少ない中、私がお勧めするのはこちらです。
3、求人の見るべきポイント
雇用形態、社会保険は人それぞれ事情に合わせて考慮してください。
未成年の方はご両親の相談、承諾が必要です。一緒に相談してください。面談で賛成しているかを聞かれます。
年齢を気にしない10代、20代の方は形態や保険より、会社の持つブランド力、作品の傾向やクオリティーで選ぶことをオススメします。スタートはきついほうが将来有益です。
私は休日なしで背景にどっぷり浸かるつもりだったので待遇を見ませんでした。気づけば契約社員の保険なしでしたね。新人からフリーランスみたいな(笑
でもそれが今に繋がっている気がします。フリーランスへの障害は感じませんでしたね。
クリエイター系フリーランス初心者の方向け記事があります |
そんな会社だったからかハイスペック職人の集まりだったの一番の糧になっています。正直よかったと思っています。
改めて、見るべきポイント3つ、提出書類、応募条件、締め切りを一つずつ解説します。
中でも時間がかかるのが提出書類です。提出書類については次の「4、提出書類を揃える」で詳しく説明します。
♦応募条件について
技能資格、デジタルソフトのスキル、年齢が多く記載されています。今後使用していくデジタルソフトになりますので、基礎くらいは覚えておくのが良いですね。
ソフトより年齢で悩まれる方のほうが多いイメージですが、チャンスは今です。やる気次第な業界なので、オンライン等でソフトを経験しポートフォリオを用意しましょう。少しでも早いほうがいいです。
♦覚えておきたいソフトを紹介します
アニメ業界は映像を扱う為、簡単な編集ソフトで「Premiere Pro」 撮影ソフトで「After effcts」は必須と言ってもいいんですね。監督、制作、音響、撮影、編集と多くの部署で共通したソフトです。
描画系なら背景がPhotoshop、アニメーターがClip studioです。
これらは今とっても簡単に、それも短期で習得できる講座が多くあります。自宅で出来るものもあるので、頼る人がいないならしっかりしたテキストで習ってしまったほうがいいです。アニメ業界でなくとも使うソフトです。
- 最短1ヶ月で動画編集スキルが身につく!【クリエイターズジャパン】 = 編集ソフトの代表「Premiere Pro」講座を1日1時間、1ヶ月で習得できます。HPで作った実際の制作動画が見れますよ。
アニメーターのClip studio以外はどれも「Adobe社」のソフトで、使用するには月額に入る必要があるんですが、練習として買うにはちょっと高くコンプリートプランは¥6,000円前後/月、1年で72,000円にもなるんです。さすがに独学の方はきついと思うので、本気で教わりつつソフトも使える下記のようなプランもお手頃です。
ヒューマンアカデミーのオンライントレーニングの通信講座+Adobe(アドビ)ソフトウェア通販! =
プロの講座で学びつつアドビソフトも使えるようになるプランです。Photoshopに関わる仕事を本気で考えている方はこちらがオススメです。1ヶ月、3ヶ月、12ヶ月プラン有り+アドビソフトセット講座。
上記でも怖いな~と思われる方は、オンラインでの無料個別相談を開いてくれてるところが最初はいいかもしれませんね。まさに初心者の方のための相談会ですね。
- 6ヶ月で未経験から動画クリエイターになる!【デジタルハリウッド STUDIO by LIG】 = 相談は無料ですので、100%未経験の方、心配性の方はこういった現在現役で業界に属している方に相談してしまうのが早いかもしれませんね。
♦応募締め切りについて
「締め切りがある場合」と「ない場合」は少し準備期間が変わります。
締め切りがある場合は間に合わせれば良いので大丈夫なのですが、問題は随時募集の場合です。
この場合明日にも切られてしまう可能性があります。新卒募集ならばどんなに早くとも4月入社なので、ポートフォリオの出来具合と相談な感じですが、出来の良くないポートフォリオでは面接まで届きません。
だからと言って、クオリティーのために卒業ぎりぎりだと締め切られてしまうかもしれません。
早さとクオリティーのラインをどこでつけるかが随時募集の悩みの種なんです。
4、提出書類を揃える
♦履歴書について
履歴書は思っている以上に重要で、パッと見から判断基準になっており、応募が多い場合はきれいなものしか見ません。
汚い文字、内容が薄そうな文章量はやる気がないと取られます。見る価値すらないわけです。
手書き、楷書、横軸と縦軸の揃い、隙間、バランスすべて重要です。新人さんは手書きにしましょう。
私は、下書き、志望動機、清書含め1週間以上はかかるものと学生には伝えます。企業との初対面は履歴書です。決して手を抜かぬように。修正液もやめましょう。やめましょうというよりダメです(汗
♦志望動機
「どうして今回の応募まで至ったのか」、それが「なぜその会社なのか」を説明するものと考えましょう。
重要なのは、「なぜその会社なのか」というところです。
志望しているわけですから、その会社に入りたり理由は必ずありますよね。書いていると気づかないもので、幼少期からの気持ちを連なって満足してしまうんです。
【ダメな例】
- アニメが好きで
- 業界に興味があり
- 求人が出ていて
- 昔から入りたいと思っていて
- 幼少期からの夢
これはどの会社にも出せる志望動機で、そんな告白をされても心に響きません。
【良い例】
- 〇〇作品のどこどこで感動して
- 過去作品の傾向が私の理想
- ポートフォリオを作ったきっかけが御社のクオリティーに近づく為
- 御社に入るために専門学校で勉強した
他社には使えないその会社オンリーの動機で、志望動機の一番の重要なところ、「なぜ?」の問いである具体性が組まれているパターンです。そんなに難しく考えなくて大丈夫ですがしっかり練りましょう。
ちなみに・・・
- 絵を描くのが好き
- 音楽が好き
- 作るのが好き
これらはポートフォリオを見ればわかることでそもそもの話なんですね。
好きだから志望していると思っているので、「絵の〇〇を△△にするのが好きで~」くらい具体性がほしいです。ただ「好きで~」なら狭い志望動機の枠が勿体ないので変更しましょう。
しっかり時間をかけ、意味を理解して練られた志望動機は安心を与えますが、簡潔に仕上げたものは悲しさすら感じます。
履歴書に目を通す方は、何千、何万と見てきたわけですから、変わったことを書けとは言いませんが、悲しさを感じさせないよう気を付けましょう。
♦ポートフォリオについて
相手が欲しがっているものをしっかり考えて作る。
描画系なら、職種に合わせた「デッサン力」みたいなイメージです。
「当たり前じゃん」と思われれば大丈夫ですが、「職種に合わせた」というところを再確認してみてください。
絵を描く仕事に対して、PhotoshopやClip studioのソフトがいくら詳しくても仕事の納品は出来ず、内定はもらえません。
イラスト業で言えば静止画で大丈夫ですが、多ジャンルのキャラや動物と背景、さらにカラー技術も必要。
アニメーターは動かせるくらい人物や動物には強くなる必要がありますが、イラスト業と違いカラーは使いません。
漫画ならカラーはなくとも物語が上手に表現できることが売れ行きや報酬に繋がります。そう考えると漫画の場合、大学や海外に出るくらいいろんな経験が大切かもしれませんね。
背景会社にキャラクターが多いとか、デザイナーなのに模写しかないとか、クリエイター職でコピペや素材張り込みだったりとか、やったものをまとめるのではなく仕事に直結する完成形を集めるのがポイントです。
学生時代に頑張ったのはわかりますが、余計なものがあると「もしかしたら合わずにやめてしまうかも」と不安にさせてしまうんです。
希望する職種が「最後どの形で報酬を得ているか」、「それにはどの技術を見せればいいか」が自然とポートフォリオになるはずです。
♦ファイル名、データ名、データの中身も重要
- 自撮り撮影、アフターエフェクツとプレミアプロにて編集、20h
- 〇〇学校、〇〇科、名前、タイトル「△△」、オリジナル、5時間
- Photoshop制作、作品模写、10h
- DTM、○○ソフトでミュージックPV用オリジナル音響、10h
名前に迷ったら、大きい順と覚えるのがいいですよ。学校、科、クラス、名前、テーマ、制作時間ですね。
この中で「テーマ」と「制作時間」で内定が左右されると思って制作に臨んでください。特に制作時間です。
レイヤーなどのやりっぱなしはよくありません。納品では依頼に合わせてデータ量を軽くし、誰でもわかる名前を付けます。
♦その他、成績証明書、卒業見込み証明書、健康診断書について
描画系ではあまり見られませんが、制作会社、音響、編集系は最重要です。
中途採用の場合でも、第二新卒くらいは成績証明書を求められる場合があります。
母校へ連絡し作ってもらうものなので、成績証明書と卒業見込み証明書は一緒に申請し、1週間~半月は余裕を持ちましょう。
健康診断書は主治医、内科、保健所等どこでももらえるはずです。一番安いので大丈夫です。
市民プールと同じようなイメージ。500円~2000円程度。
さて、次はいよいよ問い合わせです。
アニメ背景への就職については別記事にて詳しく紹介しています。
特に「失敗しない志望動機」「ポートフォリオの中身はこれ」「面接トークマニュアル」です。 |
5、問い合わせをする
心配性な方は「一言電話したほうが失礼にならないんじゃないか」などと考えてしまいがちですが、そのほうが迷惑だったりします。
「電話かメール」なら得意なほうでOKですし、「作品を送ってください」なら、いきなり発送で全然OKです。
電話での問い合わせをする場合、大手制作会社や音響系は昼間の時間帯で大丈夫だと思いますが、描画系、特に専門の小企業会社は午前に出社していないことが多いので午後13:00~20:00時がいいですね。
リクナビ系は応募するまで詳細がわからず、返信内容にスケジュール詳細や試験内容が伝えられます。直前までわからない仕組みで外に情報も漏らせません。
あと、記念受験はやめましょう。
就職活動は、作品作りからすでに始まっていますが、企業との初コンタクトは問い合わせになりますね。
部署によりますが、ビジネスマナーが試されていると思ってください。
最初どんな言葉で入り、何を確認し、終わりはどのように締めるのかですね。これは慣れるしかないので、本、ネット、先生、友達、両親を頼りましょう。
私がおすすめるのは本やネットで調べるではなく、書いてまとめるのがいいです。
自己分析ですね。
この「書いてまとめておく」ことで、面接が少しでも楽なほうへ向かうと思います。
ちなみに、会社見学、質問などは基本受け付けていませんが、もし出来たならばここも勝負所です。ポートフォリオを持って行って意見をもらってしまうとか、後日お礼のメールをするとか、小冊子をおいてくるとか・・・。
面接前に面識を持てるので大チャンスですね。
6、面談、実技、筆記
面談はお伝えしたい内容が多いので最後に説明します。先に実技と筆記について。
♦実技、筆記について
大企業ほど毎年決まっていて、筆記、時事問題が多くなります。描画系ですら、英単語、漢字、論文の試験があったと聞いたことがあります。ごく一部です。
私はゲーム系の3D部署へ面接に行ったことがありますが、今あげたもの全部ありました。
実技も様々で、ポートフォリオ重視で済む業種は面接のみの試験なしの場合が多く、そのポートフォリオの出来があまりよくない場合は、予定なしの突発的試験をさせられることもあります。
先にしっかりとした課題を伝えてくるところもあり、この場合「伝えた」ということで練習してきたかの判断をされていると思います。
私の試験は変わっていました。
滅多に聞きませんが1週間試験となっており、月曜に出社、いつまでやってもよく、金曜夜に結果を直接伝えられるという流れですね。そのほうが楽しく出来たので試験という感じはせず、夜遅くまでひたすらやり内定を頂きました。
試験対策は、結局出来ることが合否なので普段の練習をしっかり行いましょう。
♦面接について
志望動機や自己PRの内容が薄いのはそもそも練習してないということになるので問題外ですが、難題にぶつかったときも冷静に対処できるか、パニックにならないか、最低限礼儀はあるか、私生活や身の回りの人達に興味を持っているかなど、これから一緒に働けるかのチェックが多いですよね。
そう考えると、もし答えに困ったときでも、わからないなりの対処が出来ると思います。わからなければわからないと言えばいいんです。むしろ、「初めて聞きましたがそれはなんですか?」と返してみたら会話が弾むかもしれませんよ。知らないことはあって当たり前なんでわざと聞いている可能性も。
その為、普段からコミュニケーションを取るようにと大人は言うんですが、それは面接が日常の延長だからです。
面接練習は、文章を記憶するというよりはワードを100個くらい上げて、自分というものを整理しておくと緊張も起きにくくなるんじゃないかと。質問にも柔軟に対応できますし。
上級技になりますが、ワードの中でいくらでも話せる得意な分野へ誘導出来れば楽しい面接で終わります。
例えば、「休日は何してますか?」に「ショッピングや映画」で終わってしまうと、「どんな?」と聞かれない限り話は広がりませんが、「映画でも特に実話やラストに意表突くものを探してます」とちょっと興味のわきそうな返答に出来ると、聞き返したくなりませんか?
そもそも映画は好きなわけですから、聞かれたらこっちのものです。そこからどんどん深くマニアックなコミュニケーションへ引き込みましょう。
ちなみに、この「映画」へ引き込むのは趣味だからだけではないんです。
クリエイターは実写映画を勉強題材にするくらい重要視しており、またアニメ業界は映像業界ですよね。映画好きとはむしろ当然のことで、それをマニアックなところまで話せれば非常に良い印象を与えます。ただ、得意でないとだめですよ・・・嘘はいけません。
それと以外ですが、体力自慢の方は優先して話に組み込んでください。
甲子園に行ったとか、全国第〇位とか、団体競技で優勝など、採用に安心感を与えます。
描画系はポートフォリオが優先なので、会話方式の面談になることが多く、普段のコミュニケーション+敬語で大丈夫です。
とは言え、練習して当たり前のスタンスで、礼儀あってこそです。
同業に「こんな人がいたらやだな~」「こんな先輩なら一緒に仕事したいな」という気持ちで臨めば、背筋、歩き方、言葉遣い、態度は自然と良い方向へ体が動きます。
♦最後に「質問はありますか?」は必ず質問する
良い印象を与える質問を必ずしましょう。もし聞かれなければ、自分から「質問いいですか?」くらいあるとやる気が見られます。質問するということは、興味がある証拠です。
良い質問例
- 近くで治安がよさそうなところありますか? = 仕事の為に引っ越そうとしているとみられる
- 日曜も働けますか? = それくらいの気持ちはあっていいと思います。やる気十分。
- 卒業までに(出社初日までに)強化しておいたほうがいいことありますか? = 前向き、勉強熱心
- 写真や実写映画でオススメはありますか? = 描画系になりますが、アニメは実写から学ぶもので、貴重な意見がもらえると思います。話も弾むはずですし、何よりほとんどの社長さんは映画の話が大好物です。
悪い質問例
- ボーナスは出ますか?
- 土日休みですか?
- 残業代は出ますか?
- 手っ取り早く描く方法はありますか?
- 有給有りますか?
- 早く帰れますか?
「質問ありませんか?」はこれで最後ですよという意味です。後悔しないように全部ぶつけてきましょうね。
引っ越しを聞かれることがしばしばあります。深夜遅くなることもあり、また、通勤費の出費も関係してのことです。
体力と通勤のバランスをしっかり考えておくと良いかもしれませんね。
私の例ですが、アニメ業界は厳しいと聞いていたので自ら寮を希望しました。徒歩3~5分でした。365日働く気だったのでそれくらいが丁度よいと思っていましたが、日曜は強制的に休まされました・・・。
無理に近くへ引っ越さなくとも大丈夫ですよ。生活リズムを気にしてくれる会社は昔よりかなり増えました。アタリマエカナ(汗
7、内定後にやっておくこと
♦在学中の研修について
企業側は卒業まで学生扱いでいてくれますので、学校主体で大丈夫です。余裕があれば自ら研修を申し出たり、課題をもらったり、逆に決まった課題があったり、指定映画を見る、写真を撮ってくるなど会社によりいろいろです。
♦入社後の研修について
4月~6月末までの3ヶ月が研修期間。
描画以外はとにかく各部署、先輩たちのフォロー、資料準備、挨拶廻り、デジタルソフトの研修で、早くアニメ業界になれることに専念ですね。描画系は模写です。ひたすら模写。アナログ絵の具をすることもあったり、デッサン、スケッチもやりますが、認められれば三ヶ月も立たずに仕事をもらえます。
♦引っ越しについて
引っ越し費用は2月~3月が倍以上に増える上、入社してからでは時間が取れないかもです。在学中、それも早めに調整出来るといいですね。男性なら一人で出来ます。
私は9回引っ越しをしましたが、6回くらいは車を借りて一人でやりました。長野から岐阜、一日二往復なんてのもやりましたね。怪我しないように頑張ってお金節約です。
♦行政手続きについて
まずは、会社との雇用形態を確認する必要があります。
正規雇用社員なら引越しの住民票移動くらいでしょうか。成人者はマイナンバーをば。
非正規雇用社員で、社会保険に入らない場合は自ら区役所等で行政の手続きが必要になります。
確定申告は会社でまとめてくれると思いますが、業務委託、完全なフリーランス契約だと、領収書のまとめ、帳簿付け、税金、売り上げ、経費とやることはいっぱいです。
確定申告絡みは各自治体にある税務署で聞くことが出来るはずです。たまにセミナーや相談会を設けてくれます。
状況によるので入社前にしっかり確認しておきましょう。昼間にしか出来ない手続き優先で。
♦入社までやることがない方
最後のゆとり時間ですので、大いに遊びつつ、苦手なことの勉学に当てましょう。
8、最後に
一本筋を通しておけば、技術よりやる気が買われる夢のある業界です。1年目で大卒初任給を超えることも可能ですし、歩合ならば倍も夢ではありません。
クリエイターはセンスが問われるようなイメージがありますが、作品作りには一貫して決まっていることがあり、それを各トップである監督が下へ流す仕組みなので、センスより合わせが出来るのが望ましいです。
勘違いされやすいですが、アニメ業界は一般のサラリーマンで、画家やデザイナーとは違い指定に合わせて納品出来れば十分給料分働いたことになります。一等賞でなくて全然大丈夫です。
とにかく技術を努力でカバーする気持ちがあれば、席を作ってくれるとても柔軟な業界だと思います。
健康体と行動力のほうが必要で、100人に一人の逸材なんて天才的センスはいりません。
迷っている方、初心者歓迎は嘘ではありませんよ。では幸運を。